毎週の説教メッセージ

off 一人の人間の重み

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説教:最上 光宏 牧師

ルカによる福音書8;26-39

主イエスは、ガリラヤ湖の東岸ゲラサ人の地で、裸で墓場を住み家とする「悪霊に取りつかれた男」と出会いました。鎖で繋がれ、足枷をはめられて監視されていた彼は、村人たちから完全に疎外され排除されていたのです。イエスは彼に近寄り、名を尋ねました。一人の人格として受け入れた証拠です。男が名のった「レギオン」とは、ローマの武装した6千人の軍団の意味です。もしかしたら、彼はローマ軍の残虐行為や圧迫を受けて、心を病むようになったのかも知れません。人を狂わせる悪霊は、軍隊の中にも宿って、平気で虐殺や略奪を行わせるのです。「レギオン」を名のる悪霊は、主イエスの権威におののき、「滅ぼさないで、豚の中に移動することを認めてほしい」と懇願し、認められたのです。奇妙な話ですが、山の上で飼われていた沢山の豚(マルコによると2千匹)に悪霊が入ると、豚は崖から湖になだれ込み、おぼれ死んでしまったのです。豚はゲラサ人たちの貴重な資産でした。この出来事は、軍が資本と結びつくと破滅的な事態を招くことを意味します。村人たちは、悪霊から解放され正気となった男の回復を喜ぶより、失った豚を惜しんで、イエスを町から追放したのです。一人の人間の命よりも資本を重んじた結果です。主は一人、一人の命のために十字架に架かられたのです。

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