毎週の説教メッセージ

off 同胞への愛

tokorozawa-mikuni to 未分類  

説教:最上 光宏 牧師

ローマの信徒への手紙9:1-5 

 「わたしには深い悲しみがあり、わたしの心には絶え間ない痛みがあります」。パウロにしては珍しく、弱音を吐いているように見えます。しかもわざわざ「真実を語り偽りは言わない」と強調さえしているのです。彼にとってよほど心痛なことであることが伺えます。その内容は、「肉による同胞」の救いに関することがらでした。ユダヤ人以外の人々(異邦人)が喜んで福音を受け入れているのに、神から選ばれた民であるイスラエルが、キリストの福音を受け入れようとしない現実に、パウロは深い痛みと悲しみを禁じ得なかったのです。ここに同胞(隣人)への深い愛があります。彼はその思いを「同胞のためならば、キリストから離され、神から見捨てられてもよいとさえ思っている」と告白しています。この直前に「キリストによって示された神の愛から引離すものは何もない」と言い切った彼が、です。これは神への愛と隣人への愛を天秤にかけて、どちらを優先させるかという話しではありません。圧倒的な神の愛に押し出されて、神に仕える者として、隣人の救いのために自分の命を差し出しても惜しくないとの熱き思いです。世界に誇る「平和憲法」を掲げるわが国が、戦争できる普通の国になってしまったことに、「深い悲しみと絶え間ない痛み」を抱きつつ、同胞と隣人の救いのために祈り、労したいものです。

Comments are closed.