説教:最上 光宏 牧師
ヨハネの黙示録2:8-11
スミルナの町は、エーゲ海の西岸に面した美しい港町で、大変栄えた町であったようです。しかし、そこに住むキリスト者たちは経済的には貧しかったようです。ローマの迫害に加え、ユダヤ教徒たちからの圧迫があったからです。キリストはこのスミルナの教会に対して「わたしは、あなたの苦難や貧しさを知っている」と言われたのです。格差社会に於いて、富は一部の人々の生活を潤しても、貧しい人々を一層困窮へと追いやります。豊かさの中での貧しさは、身に応えるものです。今の時代も貧富の格差が広がり、生活に行き詰まっている人が少なくありません。しかし主はそのような貧困に喘ぐキリスト者に言われるのです。「だが、本当はあなたは豊かなのだ」と。この矛盾した言葉の背後にあるのは、あなた方は決して見捨てられてはいない。わたしがあなたの貧しさを担い、わたしの富があなたに与えられているという隠された恵みがあるのです。「主は豊かであったのに、あなたがたのために貧しくなられた。それは、主の貧しさによって、あなたがたが豊かになるため…」(Ⅱコリント8:9)とあるとおりです。その豊かさとは、永遠の命にあずかる約束です。それ故に、どのような迫害や苦難に際しても「死に至るまで忠実であれ」と命じられているのです。主の真実に応えて真実に生き続けたいものです。