毎週の説教メッセージ

off 見えざる希望

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 最上 光宏 牧師

ローマの信徒への手紙8:13-30

 「現在の苦しみは、将来わたしたちに現れるはずの栄光に比べると言うに足りない」。パウロは、様々な病や迫害、伝道の苦しみの中でこのように語るのです。私たちの「現在」がどんなに苦しみに満ちた厳しいものであっても、「将来」に希望があれば、耐えられるのです。V.フランクルがアウシュヴィッツの強制収容所での体験を通して強調したのもそのことでした。しかしその希望は、私たちが人生から何かを期待するのではなく、人生が私たちに何を期待するかという、神からの問に応えるのでなければならないと述べています。パウロはそのことを、「見えるものに対する希望は希望ではありません」、「わたしたちは目に見えないものを忍耐して待ち望むのです」という言葉で述べています。日本の国は、かつて「大東亜共栄圏」建設の夢を描いて無謀な戦争を起こし、悲惨な経験をしました。また高度経済成長の波に乗り、経済大国の夢を追い求めバブルの崩壊と共に大きな失意に落ち込みました。それにもかかわらず、またぞろ「目に見える希望」のみを追い求め「富国強兵」の道を歩みつつあります。目に見える希望はほんとうの希望ではないのです。パウロの抱いた希望は、神の国(支配)の到来であり、すべての人がキリストの救いによって「神の子」としての栄誉にあずかることでした。ここに永遠の希望があるのです。

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