説教:加藤 久幸 牧師
使徒言行録6:8-7:8
初代教会は、七人の指導者(役員)を任命しました(6:1-7)。今日は、その中のステファノのこと(6章後半)と彼の説教の前半に触れます(7:1-8)。彼は「知恵と霊によって」語ったと言われており(10)、与えられた「日々の分配」(1)の奉仕を越え、力強い証しをしたことが、うかがえます。「悪意」により捕らえられたステファノが、最高法院で説教を始めます(7:1)。私たちは、使徒言行録の説教に触れるとき、キリスト者とユダヤ人の対立として、捉えがちです。しかし、ステファノや使徒の説教は、イスラエルへの神の約束が恵みのうちに成就されるためにという、共通の基盤を語り、私たち自身に(ユダヤ人も含み)「想起せよ」と語っています。彼は、アブラハムとその子孫を導き、礼拝する場所へ連れていくという、神の約束を語っています(2-7)。次にヨセフ(参考、9-16)、モーセのことを語ります(参考、17-36)。このモーセを神は「指導者また解放者としてお遣わしになった」(35)が、「先祖たちはこの人に従おうとせず、彼を退け」た(39)と、ステファノは語ります。ステファノの説教も、ペトロの説教と同じく、[旧約]聖書の解き明かしです。自分を顧みるものとして、聖書が掲げられています。その最初から、ヨセフの時には「ねたみ」があり(9)モーセの時にも「争い」がありましたが、そのようなイスラエルの人々に関わり導きを与えてきた神を、ステファノは想起します。そして、この神はアブラハムと結んだ契約(8)に忠実であったと語っています。この神の契約の相続について、11/3に改めて触れましょう。