説教：最上 光宏 牧師
ヨハネによる福音書15:18-27
ヨハネ福音書を書いた長老ヨハネの晩年についてこんなエピソードがあります。年老いて体の自由を失っても、毎日曜ごとに信徒に抱えられて講壇に立ち、たった一言、「互いに愛し合いましょう」と語り、また抱えられて講壇を降りたそうですが、人々はその一言を聴くために毎週喜んで教会に通ったというのです。ヨハネの心を満たしていたものは、「独り子を給うほどに愛してくださった神の愛」でした。その愛に生き続けているヨハネの姿に人々は感動し、励まされていたのです。ヨハネは、「わたしがあなたがたを愛したように、互いに愛し合いなさい」というイエスの言葉を何度も、イエスの掟(命令)として記しています。さらに「友のために自分の命を捨てること、これ以上に大きな愛はない」とも語っています。これを命令として受け取ると、これ以上に厳しい掟はありません。しかし、主イエスはここで同時に、「あなたがたはわたしの友である」、「わたしはあなたがたを友と呼ぶ」と語っておられるのです。主イエスは、「友のために命を捨てる」という言葉で、ご自分の十字架の死が、弟子たちのための犠牲であることを示されたのです。「友よ」、十字架に架かり復活された主は、今も私たちにこのように呼びかけていてくださるのです。私たちも互いに愛し合いましょう。