説教:最上 光宏 牧師
コリントの信徒への手紙➁8;1-15
戦後、日本の国は飛躍的な経済成長をとげ、豊かになったと言われますが、近年、景気は低迷し、新たな貧困が深刻化しつつあります。大資本優先の経済政策が貧富の格差を広げているのです。パウロは、エルサレム教会の経済的困窮に心を痛め、忙しい伝道活動のかたわら、コリント、フィリピ、ローマ等の教会に募金を呼びかけ、自らそれをエルサレム教会に届ける働きに努めました。昔、イスラエルの民が荒野で飢えた時、神は天からのマナを降らせ、多く集めた者にも、わずかしか集めなかった者にも均等に養われました。神の愛はすべての人に平等に注がれ、皆、等しく生きる権利を与えられています。パウロは、コリントの教会の人々にこの「恵みのの業」を進んで最後までやり遂げるように勧め、「主は豊かであったのに、あなた方のために貧しくなられた。それは、主の貧しさによって、あなたがたが豊かになるためだったのです」と訴えたのです。神の御子であられた主イエスは、貧しい僕となってこの世に来られて、十字架の死によって、尊い命まで私たちに献げてくださいました。その豊かな恵みにあずかっている私たちは、喜びをもって少しでもその恵みに応えて、分かち合い、共に生きる道を励みたいものです。ほんとうの豊かさとは、自分だけ満ち足りることではなく、貧しくされている人々、助けを求めている人々と「共に生きる」ことなのです。