説教:加藤 久幸 牧師
使徒言行録15:22-35
最初の使徒会議(1-21)の後、その対応が決定されます。その内容と次第は、今日の聖書に手紙(前半22-27、後半28-29)として報告されています。この手紙は、パウロたちを再び正式な使徒(=宣教者)と認め(26)、アンティオキア教会の宣教を認めています。手紙の前半では、ある者が「教会の指示(決定)もないままに…教会を騒がせたこと」にも触れています(24-25)。また、手紙の後半にある「必要な事柄」(28-29)が、最初の使徒会議で決定され(参考19-20)、この時の手紙として実際に記されたのかどうかは検討の余地があります…。使徒会議の決定については、パウロは異なる感想を持っていたようです(参考 ガラテヤ書2章)。パウロは、(ガラ2:6後半-7で)「神は 人を分け隔てなさいません――実際、その[エルサレムの]おもだった人たちは、わたしにどんな義務も負わせませんでした。それどころか、彼らは、ペトロには割礼を受けた人々に対する福音が任されたように、わたしには割礼を受けていない人々に対する福音が任されていることを 知りました」と述べています。使徒会議の承認を受けたアンティオキア教会は、主の福音宣教の教会として歩んでいくことになりました(35)。各教会の事情や資料の成立年代を考慮しつつ考えると、「必要な事柄」(28-29)という律法の枠はあったものの、最初の教会は、各々の置かれた場所で、福音を宣べ伝え、キリスト者としてどう生きるかという「倫理」に、各々が主体的に取り組んでいくことになったのでしょう。